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出走馬一覧と基本データ
2025年6月1日、第92回日本ダービー(東京優駿、G1・東京芝2400m)にはフルゲート18頭の3歳牡馬が出走します。主な出走馬と血統・実績・騎手の概要を以下の表にまとめました(枠順順):
枠番 (馬番) | 馬名 (性齢) | 父 (父のダービー実績) | 主な実績・前走成績 | 騎手(ダービー経験) |
---|---|---|---|---|
1枠① | リラエンブレム 牡3 | キズナ(2013年ダービー馬) | 新馬戦・G3シンザン記念2着。前走G3毎日杯7着 | 浜中俊(ダービー勝利経験あり) |
1枠② | ショウヘイ 牡3 | サートゥルナーリア(2019年ダービー4着) | G2京都新聞杯1着j、G3きさらぎ賞4着 | C.ルメール(2017年ダービー制覇) |
2枠③ | エリキング 牡3 | キズナ(2013年ダービー馬) | G3京都2歳S(ラジオN杯京都2歳S)2着、皐月賞8着(骨折明け) | 川田将雅(2016・2021年ダービー制覇) |
2枠④ | ドラゴンブースト 牡3 | スクリーンヒーロー(未出走) | 若葉S2着、皐月賞14着 | 丹内祐次(クラシック騎乗経験あり) |
3枠⑤ | レディネス 牡3 | スワーヴリチャード(2017年ダービー3着) | プリンシパルS1着、若駒S3着 | 横山典弘(2024年ダービー制覇) |
3枠⑥ | ファンダム 牡3 | サートゥルナーリア(2019年ダービー4着) | 無敗:新馬→1勝クラス→G3毎日杯1着 | 北村宏司(ダービー初騎乗ではないが未勝利) |
4枠⑦ | ミュージアムマイル 牡3 | レオンティス(自身はクラシック未出走) | 皐月賞1着、G1朝日杯FS2着 | D.レーン(2023年ダービー制覇) |
4枠⑧ | エムズ 牡3 | ドゥラメンテ(2015年ダービー馬) | G2京都新聞杯5着、スプリングS5着 | 戸崎圭太(クラシック騎乗経験豊富) |
5枠⑨ | ジョバンニ 牡3 | エピファネイア(2013年ダービー2着) | 皐月賞4着、若葉S1着 | 松山弘平(クラシック勝利経験あり) |
5枠⑩ | トッピボーン 牡3 | リアルスティール(2015年ダービー4着) | 1勝クラス1着、G2京都新聞杯7着 | 岩田望来(ダービー初騎乗) |
6枠⑪ | ニシノアジェント 牡3 | イスラボニータ(2014年ダービー2着) | 皐月賞15着、G3京成杯5着 | 津村明秀(ダービー初騎乗) |
6枠⑫ | カラマティアノス 牡3 | レイデオロ(2017年ダービー馬) | 皐月賞10着、G3共同通信杯2着 | 池添謙一(2007年・2011年ダービー制覇) |
7枠⑬ | クロワデュノール 牡3 | キタサンブラック(2015年ダービー14着) | 2歳牡馬チャンピオン(G1ホープフルS1着)、皐月賞2着j | 北村友一(クラシック騎乗経験あり) |
7枠⑭ | ホウオウアートマン 牡3 | ドゥラメンテ(2015年ダービー馬) | 青葉賞6着、1勝クラス(東京2400m)1着 | 田辺裕信(クラシック騎乗経験豊富) |
7枠⑮ | ファウストラーゼン 牡3 | モズアスコット(未出走) | G2弥生賞1着、G1ホープフルS3着(皐月賞11着) | M.デムーロ(2015年ダービー制覇) |
8枠⑯ | ファイアンクランツ 牡3 | ドゥラメンテ(2015年ダービー馬) | 青葉賞2着、G2東スポ杯2歳S5着 | 佐々木大輔(ダービー初騎乗) |
8枠⑰ | マスカレードボール 牡3 | ドゥラメンテ(2015年ダービー馬) | 重賞3勝(東京G3共同通信杯1着他)、皐月賞3着 | 酒井瑠星(ダービー初騎乗) |
8枠⑱ | サトノシャイニング 牡3 | キズナ(2013年ダービー馬) | G3きさらぎ賞1着、G2弥生賞2着、皐月賞5着 | 武豊(ダービー6勝) |
*(注)馬の実績は主要なもののみ抜粋
コース・距離適性と馬場コンディション
東京芝2400mコースの特徴: ダービーが行われる東京芝2400mは直線の長い左回りコースで、コーナーも緩やかで広いのが特徴です。器用さよりもスピードの持続力と末脚の切れが問われる舞台で、広いコースゆえ他馬との不利が生じにくい傾向があります。皐月賞(中山芝2000m)のタフな急坂コースから舞台が変わることで、直線の長い東京コースへの適性が勝負の分かれ目になります。
距離2400mへの適性: 3歳馬にとって2400mは初経験の場合が多く、血統背景やこれまでのレースぶりから距離適性を分析する必要があります。各馬の父系には過去にダービーやクラシックで実績を残した種牡馬が目立ち、スタミナ豊富な血統かどうかがポイントです。実際、過去10年のダービー馬はいずれも父が自身もダービーで3着以内に入った馬でした。今年もクロワドゥノール(父キタサンブラック)、サトノシャイニング(父キズナ)、マスカレードボール(父ドゥラメンテ)など父がダービー馬の馬が多く、血統面から距離への不安は小さいといえます。
各馬の距離実績をみると、東京2400mをすでに経験しているのは青葉賞2着のファイアンクランツ(東京2400mを含む長距離で3戦連続で好走)や、東京2400mの1勝クラス戦を勝ったホウオウアトマンなど数頭のみです。多くの馬にとって初の2400mとなりますが、2200m前後の重賞を経験した馬は少なくありません。例えばショウヘイは京都外回りのG2京都新聞杯(2200m)を勝利して距離延長への手応えを掴んでおり、「2400mも十分にこなせる」と陣営も自信を示しています。一方、マイル~2000m中心だったファンダムやリラエンブレム、マスカレードボールなどは未知の距離でスタミナに一抹の不安はありますが、血統的にはいずれも2400mを克服し得る背景があります(ファンダムは母父ジャスタウェイで中距離向き、リラエンブレムは母が愛オークス馬の血を引くスタミナ血統、マスカレードボールは父ドゥラメンテ×母父ディープインパクトという長距離向き配合)。
馬場状態と気象条件: 前日5月31日の東京競馬場は雷雨に見舞われ、芝コースは稍重発表ながら実質かなり時計のかかるコンディションでした。「府中(土砂降り)」「馬場悪化の予感」とファンも心配するほどの雨量で、当日も晴天は望めず良馬場にならない可能性があります。仮に日曜が曇で回復しても、水分を含んだ力の要る馬場になることを念頭に置くべきでしょう。このため、「切れ味勝負よりスタミナやパワーを活かす展開になる可能性」が指摘されています。各馬の馬場適性を見ると、稍重~重馬場で持ち味を発揮できそうなのは、馬力型の血統を持つ馬や持久力勝負を好む馬です。例えばファウストラーゼンは「雨で時計が掛かる馬場の方が良い」と陣営も語るようにスタミナ型で、重馬場の方が浮上しそうです。またホウオウアトマンも前走の稍重の東京2400m戦で楽勝しており、渋った馬場への適性を示しています。一方、エリーキングは「大跳びの走法で東京良馬場向き。できれば速い馬場が理想」とされ、極端な道悪はプラスではなさそうです。マスカレードボールやサトノシャイニングのように瞬発力が武器のタイプも、馬場が悪化すると切れ味が削がれる可能性があるため、当日の馬場状態は各馬の適性に大きく影響します。
枠順とコース取り: 枠順は広い東京コースだけに決定的な有利不利は小さいものの、極端な外枠は距離ロスが懸念されます。今回8枠から出走するマスカレードボール(17番)やサトノシャイニング(18番)は、1コーナーまでのポジション取りが課題です。しかし東京2400mはスタート後の直線が長いため、各騎手が無理に先行争いをしなければ外枠でも十分に折り合ってポジションを取る余裕があります。内枠勢では最内1枠のリラエンブレムとショウヘイがスタートからスムーズに先行できればロスなく立ち回れますが、包まれるリスクも抱えます。近年のダービーでは1~3番枠の馬が勝利するケースも増えており(2018年ワグネリアン1枠、2019年ロジャーバローズ1枠など)、内枠でも馬群を捌ける操縦性の高さがあれば問題ありません。一方で、過去10年で見ると「ダービー馬は5番人気以内の馬から8頭出ている」のに対し、1番人気の勝率は低く直近10年で2頭しか勝てていない点もデータとしてあります。つまり有力人気馬の中から勝ち馬が出る傾向ですが、必ずしも最も人気の馬が勝つとは限らないということで、伏兵にも注意が必要です。
各馬の戦績・血統から見る有利不利
ここでは重賞実績や東京コースでの成績を中心に、各有力馬の戦績と適性を分析します。
- クロワドゥノール(牡3・7枠13番): 2歳G1ホープフルSの覇者で最優秀2歳牡馬。皐月賞では1番人気に推されながら2着惜敗も、勝ち馬以外には力の違いを見せました。父キタサンブラック譲りの粘り強い先行力とスタミナが武器で、陣営は「皐月賞後さらに馬体が成長し、前走以上の出来。東京替わりと距離延長も十分にこなせる」と自信を示しています。直線の長いコースは歓迎で、実績・血統ともにトップクラスの本命候補です。
- マスカレードボール(牡3・8枠17番): 父ドゥラメンテ×母父ディープインパクトという良血で、東京芝で重賞2勝(共同通信杯など)を挙げています。皐月賞は後方から追い込んで0.3秒差の3着と健闘。右回りのホープフルSでは大敗しましたが、左回りでは5戦3勝と安定しています。広い東京コースに替わる今回は「コーナーでモタつく面を矯正してきた。直線の長い東京はこの馬に向く」と手塚調教師も期待を寄せます。折り合いに課題がありますが、うまく捌ければ末脚はメンバー随一で、上位争い必至でしょう。
- ミュージアムマイル(牡3・4枠7番): 前走皐月賞の勝ち馬。デビュー2戦目の朝日杯FSで2着と速い持ち時計も示し、皐月賞は初の右回り・中山コースながら道中不利を受けつつも差し切る強い内容でした。今回は初の東京コースかつ初の2400mと課題はありますが、調教師は「左回りと距離延長に一抹の不安はあるが、経験を積んで精神面で成長した」と前向きです。豪州の名手ダミアン・レーン騎手が初騎乗ですが、昨年ダービーを制した騎手でもあり、鞍上強化も見逃せません。実績No.1の皐月賞馬として当然有力視されますが、課題の克服がカギです。
- サトノシャイニング(牡3・8枠18番): 皐月賞では5着に敗れましたが、不利が重なったもので、直線では勝ち馬に肉薄する場面もありました。父キズナ(ダービー馬)譲りの末脚が持ち味で、前々走のG2弥生賞ではファウストラーゼンの2着、G3きさらぎ賞ではレコード勝ちと高い能力を示しています。今回は武豊騎手が新たに手綱をとり、「追い切りで乗った感触は予想以上にスムーズ。左回りも問題なく、広いコースでこの馬の良さを引き出せそう」と好感触を掴んでいます。伝説的ジョッキー武豊が史上最多7勝目を狙う一戦であり、「東京コースで巻き返しを期す1頭」です。
- ショウヘイ(牡3・1枠②番): 前走の京都新聞杯を制し、西の有力馬として名乗りを上げました。京都でしか走ったことがない点は不安でしたが、「左回りの東京でも問題ない。折り合いがつく気性で輸送も克服できる」と友道調教師は太鼓判を押しています。父サートゥルナーリアは中距離向きながら、母父オルフェーヴル(皐月・ダービー・菊花賞三冠馬)の血でスタミナは十分。実際、稍重の京都新聞杯で早め先頭から押し切ったようにパワーと持久力を兼ね備えています。ルメール騎手とのコンビで調教の動きも良く、上位人気勢に割って入る可能性を秘めた伏兵といえます。
- ファンダム(牡3・3枠⑥番): デビューから無傷の3連勝でここに駒を進めてきた上がり馬です。前走毎日杯では2番手先行から抜け出し、クラシック参戦を決定づけました。父サートゥルナーリア譲りの二の脚の速さがあり、新馬戦では2歳コースレコードを樹立するスピードを見せました。今回はいきなり600mの距離延長かつ初の左回りですが、「追い切りでも余力十分で好時計。左回りも問題ないと見ています」と辻調教師は強気です。スピード能力は世代屈指だけに、スローペースに落としての逃げ残りや先行粘り込みが警戒される存在です。
- ジョバンニ(牡3・5枠⑨番): 皐月賞では勝負どころで不利を受け後退しながらも、最後に差し返して4着まで押し上げました。陣営は「スムーズならもっと際どかった。東京の広いコースなら持ち味を発揮できるはず」と巻き返しに燃えています。実際、直線の長いコース形態はエピファネイア産駒の同馬に向いており、2400mへの距離延長も歓迎です。母は英国G1馬でスタミナ豊富、父エピファネイアもジャパンC馬とあって血統背景からも距離適性は十分。前走4着とはいえ0.1秒差の接戦で能力差は僅かです。不利の少ない東京なら逆転候補の一頭でしょう。
- ファウストラーゼン(牡3・7枠⑮番): 2歳G1ホープフルSで3着、皐月賞トライアルの弥生賞ディープ記念を勝利と実績は上位です。皐月賞は11着と大敗しましたが、これは休み明けで展開が向かなかった面も大きく、陣営は悲観していません。実際、皐月賞では向正面で早めに動くロングスパートを仕掛けましたが、速い流れに嵌ってしまった形。東京芝2400mでペースが落ち着き、じわじわと加速する消耗戦になれば出番があります。「スタミナがあり距離は問題ない。道悪で時計がかかった方が良い」とのコメント通りの展開になれば台頭も十分考えられます。
その他では、エリーキング(ホープフルS2着馬ヤングスターを母に持ち、東京向きの大跳び。皐月賞は不完全燃焼で東京替わりで前進期待)、リラエンブレム(父キズナ×母父ガリレオの欧州的スタミナ血統で、距離延長がプラスに出る可能性あり)、カラマティアノス(共同通信杯2着など東京実績あり、前走皐月賞は10着も巻き返し狙う)あたりも侮れません。特にカラマティアノスは父レイデオロがダービー馬、母系もアルゼンチンG1馬の血統で距離適性が高く、前走は不利が響いただけとの見方もあります。一方、青葉賞組のホウオウアトマンとファイアンクランツはトライアルでは勝ち負けに加われませんでしたが、ホウオウアトマンは一度叩かれての上積みと雨馬場適性が魅力、ファイアンクランツも長距離実績を積んだ成長株です。牝系・父系から東京芝巧者の血を引く馬(例: リラエンブレムの祖母Againは愛1000ギニー馬、エムズの母Life For SaleはアルゼンチンG1馬、ニシノアジェントの母父ノヴェリストは欧州長距離G1馬など)も多く、血統面からは一様に距離不安の少ないメンバーと言えるでしょう。
調教・馬体コンディションと騎手経験
最終追い切りと調整: 各馬ともダービーへ向けて万全の仕上げを施してきています。とりわけ好印象なのはショウヘイで、前走から中2週と間隔は詰まりますが「先週の追い切りが完璧。状態面の不安は全くない」と陣営が太鼓判を押しています。栗東坂路で51秒台をマークするなど動きも良好でした。また、クロワデュノールは皐月賞後に放牧を挟みつつ調整され、「先週しっかり負荷をかけてグンと良くなった。最終調整でも活気十分で疲れもない」と体調面の良化が伝えられます。マスカレードボールは5/22に坂井騎手が騎乗してウッドチップコースで長めから追われ、直前の追い切りで自己ベストに近い動きを見せました。気性面の難しさがある馬ですが、「この中間は才能を引き出す工夫を重ね、直前の動きは一番良かった」とのことで仕上がりは上々です。ファンダムも「5月21日の追い切りで好時計を出しつつ余裕残し。以前よりレース後の回復も早くなり、馬が逞しくなっている」と成長ぶりが窺えます。逆に気になるのは、皐月賞で骨折明けだったエリーキングがレース後に在厩調整で立て直してきた点。5月21日に川田騎手騎乗で併せ馬を消化し「攻め強化で上積みを狙う」とのことでしたが、間隔が詰まる中でどこまで状態を戻せたかが鍵となります。ただ馬体重は皐月賞時とほぼ同じ506kgを維持し、体調は問題ないようです。
馬体重の増減: ダービー当日の馬体重は直前発表となりますが、大幅な増減がある馬は要注意です。一般に輸送を伴う関東遠征では馬体が減りやすい傾向がありますが、関西馬のショウヘイは「気性がおとなしく環境変化に動じないタイプで、馬体維持も心配ない」とされています。一方、ファウストラーゼンは皐月賞から中6週で馬体をフックラさせてきており、「使い詰めでも余計な肉がなく見映えが良い」との評価です。当日、各馬の前走比体重にも注目してコンディションを見極める必要があります。
騎手の経験と実績: ダービーは騎手にとっても特別な一戦であり、大舞台での経験がモノを言うケースが多々あります。最多6勝を誇る武豊騎手はサトノシャイニングで挑み、その豊富なダービー経験で未知のコンビながらも馬の力を引き出すはずです。「武豊に全権委任。状態は万全なので任せるだけ」と陣営もレジェンドの手腕に期待を寄せています。また、昨年ダービーを制した横山典弘騎手は今年リダイネスに騎乗します。56歳でのダービー勝利という偉業を達成した巧腕だけに、人気薄でも侮れません。外国人騎手勢では、前述の通りダミアン・レーン騎手(ミュージアムマイル)が昨年に続く連覇を狙い、クリストフ・ルメール騎手(ショウヘイ)は2018年以来の戴冠を目指します。ルメール騎手はフランス出身で、日本ダービー含めGI多数勝利の実績があり、特にトライアル経由の伏兵を馬券内に持ってくる巧みさがあります。ミルコ・デムーロ騎手(ファウストラーゼン)は2015年ドゥラメンテでダービーを制しており、日本語で「ダービー大好き」と公言するほどこの舞台に懸ける意気込みが強い騎手です。その他、川田将雅騎手(エリーキング)は2016年マカヒキ・2021年シャフリヤールと近年2勝しており現在JRAリーディングトップの一人、松山弘平騎手(ジョバンニ)は2020年に無敗の三冠牝馬デアリングタクトでオークスを勝つなど大舞台での落ち着きに定評があります。総じて見ると、有力各馬にはダービー勝利経験騎手またはGI実績十分の騎手が揃っており、人馬ともに万全の態勢です。
レース展開の予想
ペースの見通し: ダービーは例年、前半はそこまで速くならずスローペースの瞬発力勝負になりやすい傾向があります。しかし今年は重馬場気味のコンディションや、有力馬に差し・追い込み脚質が多いことから、先行勢がある程度淀みないペースを作る可能性も考えられます。特に無敗馬ファンダムは「スピードが武器」とされハナを主張する可能性があり、ショウヘイも京都新聞杯で2番手から早めに仕掛けて押し切ったように先行策を得意としています。最内のショウヘイとリラエンブレムはスタートが良ければそのまま前に行きたいところでしょう。逆に、有力馬ではクロワデュノールやミュージアムマイルは好位~中団で折り合い、末脚を伸ばすタイプです。クロワデュノール陣営は「できればスタミナを活かす持久戦の方が良い」としており、北村友一騎手が早めにロングスパートを仕掛ける可能性もあります。マスカレードボールは後方からの競馬が多いですが、折り合い面を考えると中団あたりにつけるかもしれません。展開の鍵を握るのはペースメーカー役で、明確な大逃げ馬はいないものの、ドラゴンブーストやトッピボーンなど人気薄の先行馬が思い切ってハナに立つ可能性も十分あります。特にドラゴンブーストは「瞬発力勝負では分が悪いのでスタミナ勝負が理想」とコメントしており、馬場を味方に早めに動いてレースを引っ張る展開も考えられます。
有力馬の位置取り: 序盤はショウヘイやファンダムが先手を伺い、エリーキングやリラエンブレムも続く流れが想定されます。クロワデュノールは先行集団の直後、中団にはミュージアムマイル、ジョバンニ、マスカレードボールあたりが構え、サトノシャイニングやファウストラーゼン、ニシノアジェントなど後方勢は折り合い重視で末脚温存という布陣でしょう。ポイントは平均ペース~ややスローで流れた場合にどの馬が先に動くかです。残り800mあたりから各騎手が一斉に仕掛けると、瞬発力と持久力の両面が要求されます。東京コースは最後の直線が525mと長いため、早め先頭に立った馬が粘り込むシーンも、後方一気が決まるシーンも過去に見られます。馬場が渋れば前が止まりにくくなる半面、バテた馬から失速する可能性も高く、騎手にとってペース判断が非常に難しい一戦となるでしょう。
展開利を得そうな馬: 馬場コンディションとペースを考慮すると、スタミナを活かせる先行勢と切れ味勝負に持ち込みたい差し勢の思惑がぶつかる形です。雨の影響が残れば、先行して長くいい脚を使えるクロワデュノールやショウヘイ、ファウストラーゼンに展開利がありそうです。逆に馬場が回復し瞬発力勝負になれば、マスカレードボールやサトノシャイニング、ミュージアムマイルといった鋭い末脚を持つ馬が台頭するでしょう。また、広いコースのおかげで皐月賞で不利を受けた組(ジョバンニやサトノシャイニングなど)はスムーズな競馬ができると考えられ、最後の直線では横一線の叩き合いになる可能性があります。位置取りとしては内で脚を溜める馬と早めに外に持ち出す馬の差も注目ポイントです。皐月賞組は中山の経験から早仕掛けになりやすい傾向もあり、直線入口で先頭集団が固まる展開も考えられます。そのとき、大外から一気に末脚を伸ばすマスカレードボールや、インを立ち回って抜け出すクロワデュノールといったパターンが想定でき、ファンにとっては目が離せない攻防となるでしょう。
注目すべき有力馬と結論
以上の分析を踏まえ、特に注目したい有力馬を数頭ピックアップします。
- ◎クロワデュノール – 本命視される存在。2歳王者&皐月賞2着の実績はトップで、距離延長・東京替わりも血統的に歓迎です。調教後の気配も良く、雨馬場でも自慢のしぶとさを発揮できそうです。人気は1番人気濃厚ですが、「1番人気馬の勝率が低い」というデータを覆すだけの信頼に足る逸材でしょう。長く良い脚を使えるタイプで、稍重~良問わず崩れにくいと見ます。
- ○マスカレードボール – 左回り巧者で東京重賞勝ちの実績から、東京コース適性はメンバー随一です。課題だったコーナーワークも対策済みで、瞬発力勝負になれば一気に突き抜けるシーンも。道悪も父ドゥラメンテ譲りでこなせるはず。8枠17番と大外寄りの枠ですが、広いコースで挽回可能です。不利なくスムーズなら皐月賞以上の走りで戴冠の可能性大です。
- ▲ミュージアムマイル – 皐月賞馬の意地に期待します。東京適性と距離が未知数な点で評価を下げましたが、それでも「同世代の頂点」に立った能力は無視できません。ダービーでは皐月賞馬が巻き返すケースも多く、近年ではコントレイル(2020年)などが二冠を達成しています。本馬も十分二冠馬となる素質があり、折り合いさえつけば好勝負でしょう。レーン騎手の手綱捌きにも注目です。
- ☆ショウヘイ – 急成長中の上がり馬で、一発の魅力があります。皐月賞組と直接対決していませんが、京都新聞杯の内容(稍重を先行抜け出し)から能力は互角以上。ルメール騎手という点も含め、人気以上に要注意です。中2週のローテーションも「問題なし」とされ、状態面も良好。先行して粘り込む場面を警戒します。
- △サトノシャイニング – 前走の不利を考慮すれば巻き返し可能で、武豊騎手の存在込みで怖い1頭です。良でも稍重でも末脚を繰り出せる器用さがあり、展開次第では直線一気のシーンも。人気は5番人気前後ですが、データ的にも「5番人気以内」の範囲に入り勝ち負け可能な有力馬です。
- △ファウストラーゼン – 雨馬場なら印を回したい穴馬。スタミナ勝負になれば弥生賞で見せた持久力が活きますし、デムーロ騎手の勝負強さも魅力です。良馬場の瞬発力勝負では分が悪いかもしれませんが、タフな流れになれば浮上する余地があります。
追記:買うならどの組み合わせか聞いてみた
仕事が忙しくて追記出来なくて結果が出たあとの更新になります。
結果から言うと全て外れました。
馬連と三連複でバランスと高配当を混ぜて5点ずつ選んでもらいました。
15時頃になると馬体重と馬場状態が決定していたので、その情報も付け加えて分析してもらいました。
馬連(5点)
- 7-13(ミュージアムマイル-クロワデュノール)
本命同士の堅い組合せ。皐月賞馬ミュージアムマイルと2歳王者クロワデュノールの実力最上位コンビです。ミュージアムマイルは皐月賞で不利を受けながら差し切って快勝しており、初の東京・2400mも能力の高さで克服可能です。鞍上ダミアン・レーン騎手は昨年のダービーを制しており、初コンビでも勝負強さに期待できます。クロワデュノールはホープフルS優勝馬で、皐月賞では1番人気に推され2着と底力を示しました。父キタサンブラック譲りの先行力と持久力が武器で、稍重馬場でも崩れにくい安定感があります。人気上位同士で配当は低めでも的中率を重視したい一戦です。 - 2-13(ショウヘイ-クロワデュノール)
先行馬同士の堅実狙い。スローペース濃厚な展開を考慮し、先行力のある2頭を組み合わせます。ショウヘイは京都新聞杯を勝利した逃げ馬で、超スローの展開でも上がり4F45秒2の好タイムでまとめており潜在能力は高いです。今回も2番ショウヘイがハナを切る展開が予想され、内枠からマイペースで運べそうです。鞍上ルメール騎手はダービー制覇経験もある名手で、大舞台での信頼感があります。一方クロワデュノールも好位追走から粘り込めるタイプで、予想されるスローペースでは先行勢に有利な流れになりそうです。二頭とも道悪はこなせるため稍重でも崩れる心配が少なく、前残りでワンツーが狙える堅実な組み合わせです。 - 7-9(ミュージアムマイル-ジョバンニ)
実力馬+伏兵で中穴狙い。皐月賞1着馬と4着馬の組み合わせです。ミュージアムマイルは皐月賞馬として二冠を狙う立場で、その末脚と勝負根性はメンバー随一です。一方ジョバンニは皐月賞では不利を受けつつも4着まで追い上げた素質馬で、ホープフルステークス2着の実績もあります。東京の長い直線と距離延長がプラスと評されており、稍重馬場でも道中スローなら直線で鋭い末脚を発揮できるタイプ。人気のミュージアムマイルに実力馬ジョバンニを組み合わせて、中配当と的中率のバランスを狙います。 - 3-8(エリキング-エムズ)
伏兵同士の穴狙い。両馬とも人気薄ながら一発の魅力があります。エリキングは皐月賞11着大敗で人気を落としますが、休み明けの影響と揉まれた不利が原因で度外視可能です。実力は世代上位級との評価もあり、東京コース替わりと距離延長で巻き返しが期待できます。血統的にも長距離適性が高く、大跳びで東京向きのタイプです。鞍上の川田騎手はクラシック戦線の実績豊富。エムズは京都新聞杯でショウヘイの2着に健闘した逃げ馬で、超スローの展開を先行有利に運んだ内容。スタミナがあり道悪巧者のキズナ産駒でもあるため、稍重の消耗戦になれば粘り込みの可能性があります。 - 1-13(リラエンブレム-クロワデュノール)
大穴狙いの異色コンビ。重馬場適性を重視し、人気薄リラエンブレムに有力馬クロワデュノールを組み合わせます。リラエンブレムは上がりの掛かる展開や馬場を得意とするタイプで、消耗戦なら浮上可能。シンザン記念では後方一気の差し切り勝ちを収めており、時計の掛かる馬場でパフォーマンスを上げる傾向です。今回は1枠1番と絶好の内枠を引き当て、距離延長もプラス材料。クロワデュノールは先述の通り安定感抜群で、展開的には内で脚を溜めたリラがインから突っ込んでくるイメージ。高配当を狙いつつ的中率も確保する一手です。
三連複(5点)
- 2-7-13(ショウヘイ-ミュージアムマイル-クロワデュノール)
有力馬中心の本線トリオ。ショウヘイ(京都新聞杯1着)は展開利を活かせる逃げ馬で、皐月賞組と初対戦ながらも前走内容から潜在能力は高く評価されます。ミュージアムマイルとクロワデュノールは皐月賞のワンツー馬であり、共に世代トップクラス。東京2400mの舞台でもスピードとスタミナを兼ね備えた両馬が上位争いを演じる可能性大。ショウヘイが主導権を握り、2頭が直線で差を詰める理想形が描ける、鉄板級の組み合わせです。 - 7-13-17(ミュージアムマイル-クロワデュノール-マスカレードボール)
実績馬による安定型。皐月賞の1~3着馬の組み合わせで、展開・馬場ともに対応力の高い3頭です。マスカレードボールは皐月賞で出遅れながら最後方から追い込み3着と健闘。父ドゥラメンテ譲りの切れ味とパワーを持ち、稍重馬場でも不安は少なく、東京替わりでさらに前進が期待されます。展開ひとつで逆転も。 - 7-13-18(ミュージアムマイル-クロワデュノール-サトノシャイニング)
有力馬2頭+ダービー最多勝騎手の武豊騎乗馬。サトノシャイニングは皐月賞5着ながら、東京向きの脚質と距離延長での巻き返しに期待。武豊騎手はダービー6勝の“レジェンド”で、この舞台での一発は常に警戒が必要。実績上位2頭に武豊の地力が加わる形で、信頼度の高い組み合わせです。 - 1-2-13(リラエンブレム-ショウヘイ-クロワデュノール)
高配当狙いの穴トリオ。逃げ先行型の人気馬2頭に、大穴リラエンブレムを絡めます。重馬場での一変が見込まれるリラは1枠を活かして脚を溜め、直線内から抜けてくる展開が理想。ショウヘイとクロワデュノールは展開有利な先行組。前残り+内差しという展開で大波乱の可能性も。 - 3-6-13(エリキング-ファンダム-クロワデュノール)
高配当狙いの異色組み合わせ。エリキングは前走の大敗を度外視できる素質馬。ファンダムは無敗で重賞制覇と、未知の魅力を持った伏兵。どちらも距離延長で真価を発揮できるタイプで、クロワデュノールを軸にすれば波乱含みの三連複が完成します。
まとめ
これらを中心に、ジョバンニやエリーキング、ファイアンクランツなども絡めて馬券を組み立てるのが妙味といえます。特に皐月賞組は東京で勢力図が変わる可能性があり、「皐月賞で不完全燃焼だった組」の巻き返しに注意です。総合的に見ると、実績上位馬が順当に力を発揮すれば上位人気馬同士の決着が有力ですが、ダービーは各陣営とも仕上げに余念がなく一発を狙ってくる舞台でもあります。今年のメンバーは有力どころが互角に近く、「絶対的な馬」が不在なだけに展開ひとつで波乱も起こり得ます。夢の舞台で栄冠を手にするのはどの馬か――伝統の大一番を存分に堪能しつつ、レースを参考に賢明な馬券戦略を立ててください。
あとがき
分析としては非常に面白くそれっぽい理屈とデータを持ち出して提案してくれました。
外れてしまったのは残念でしたが、もっと精度が高くなるように試行錯誤してみようと思います。
まずは的中率50%を目指していこうと思います。