近年、スーパーマーケットなどで米が手に入りにくい状況が続き、「令和の米騒動」とも呼ばれるようになりました。
この中で注目されているのが『備蓄米』です。
政府が100万トンもの米を備蓄しているにもかかわらず、市場での米不足が続くのはなぜなのでしょうか?この記事では、その背景にある要因と政府の方針について解説します。
「備蓄米が100万トンもあるのになぜ米が買えないのか?」
結論から、
政府の慎重な経済政策と市場安定を維持するため
どういう事か見ていきましょう。
米不足の要因とは?
米が手に入りにくい理由として、農業経済学者の小川真如氏は「供給と需要のバランス」が崩れていることを挙げています。
具体的には、次のような要因が重なっています。
1:供給面の問題:昨年は品質の良い一等米が少なかったものの、米全体の収穫量は通常の年と比較して少し多い程度でした。そのため、品質の高い米が不足しているのが現状です。
2:需要の急増:コロナ禍からの反動で外食が好調であり、さらにインバウンド(海外からの観光客)需要も増加しています。また、物価高騰の中で米が割安に感じられるため、消費者が米の購入に走った結果、需要が急増しました。この他にも、自然災害への不安感や、報道を受けた買いだめ行動が米不足に拍車をかけています。
備蓄米の目的とその使用
備蓄米の制度は、1993年の「平成の米騒動」をきっかけに1995年に開始されました。
備蓄米は、常に100万トン程度が政府により確保されており、5年間の保存期間が過ぎると飼料用などに回されます。
この備蓄米の維持管理には年間約490億円の費用がかかっており、有事の際のセーフティーネットとしての役割を果たしています。
備蓄米が放出されない理由
大阪府の吉村洋文知事は「米が不足しているのであれば備蓄米を放出すべきだ」との考えを示しましたが、坂本哲志農林水産大臣は放出に慎重な姿勢を見せています。
その理由は以下の通りです。
- 市場への影響:備蓄米を放出すると、供給量が増えるため一時的に米の価格が急激に下がる可能性があります。これは米農家にとって大きなダメージとなる可能性があり、慎重な判断が求められます。
- 法律の制約:食糧法第2条と第3条に基づき、備蓄米は「米の供給が不足する事態」に備えるものであり、現在の状況は「生産量の減少」に該当しないため、法律上の解釈が難しいとされています。
今後の見通し
最近は私の地域では、東北産の新米がちらほらスーパーの店頭に並ぶようになってきました。
スーパーの店員の話しだと、
「まだ安定はしていないが、毎日米の納品数量が少しづつ増えてきているからあと数週間でそれなりの納品があるのではないか」
との事でした。
慌てて余計に買わずに必要な分だけ購入して、新米が流通しだすのを待とうと思います。
もし備蓄米が放出されるとしたら、それは大凶作などで民間在庫が著しく低下した場合となります。
政府はその際に迅速に対応できるよう、2~3日で供給可能な体制を整えています。
また、今年の新米の収穫状況次第では、備蓄米の放出が検討される可能性もあります。
農業関係者からは、台風などの自然災害が収穫に影響を及ぼす場合も考慮されています。
まとめ
備蓄米が100万トンもあるにもかかわらず米が市場に出回らない理由は、政府の慎重な経済政策と市場安定のためです。
米の供給が不足する深刻な状況が生じない限り、備蓄米の放出は難しいと考えられます。
消費者は、過剰な買いだめを控え、安定した供給を待つ姿勢が求められています。
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